事業マネジメント
ワクワク系新プログラムによるサービス業の生産性向上・企業力底上げ全国展開事業
諸外国に比べて生産性が低い国内サービス業
働き方改革や生産性向上の掛け声のもと、日本人の仕事を見直す機運が高まっています。日本企業の生産性は、製造業については一定水準の高さを保っている一方、サービス業については諸外国に大きく遅れをとっています。日本企業の過半数を占めるサービス業の生産性向上が可能になれば、日本全体にもプラスの影響が期待できます。
本事業は、異業種分野の事業者との連携を通じて、地域経済を支えるサービス産業の競争力強化に資する取組を支援する、経済産業省の事業(商業・サービス競争力強化連携支援事業、通称:新連携事業)に採択されてスタートしました。オラクルひとしくみ研究所の小阪裕司氏、慶應義塾大学井庭崇研究室などとコンソーシアムを編成し、全国の中小サービス業事業者の生産性向上を果たし、全国に希望に満ちた商いを広げることを目的に2年間取り組みました。
専門家が最大限能力を発揮できるよう、プロジェクトマネジメントを通じて環境を整備
RPIは本事業の進捗管理と各種セミナーの開催運営、および事業成果の集約と考察などを担当しました。
事業の全体像としては、まずサービス業事業者に対し、集団による講座とEラーニングを通じて小阪氏の「ワクワク系プログラム」の知識を提供しつつ、日々の業務のなかで意識的に実践を積ませることで、座学だけの学びにはない学習を提供しました。小阪氏の「ワクワク系プログラム」とは、人がものを買う行為を脳科学からアプローチし、動機づけや顧客との絆づくりを通じた顧客創造マーケティングを提唱するものです。講座は、山口県下関市で計4回、兵庫県加古川市で計4回、福岡県北九州市で計3回、開催しました。各会場とも近隣の事業者約100名の申し込みがありました。
この講座のもうひとつの狙いとして、地域金融機関との連携があげられます。事業者と身近に接する地域金融機関は担当する事業者の業績に課題感があることが多いものの、具体的な処方箋は持ち合わせていません。一方我々は事業者と接する頻度が少ないことが、受講者が講座の途中で脱落する原因と考えていました。そこで下関市では山口銀行、加古川市では但陽信用金庫、北九州市では北九州銀行と連携した結果、およそ7割の参加者が最後まで完走できました。そうした効果もあり、下関市の参加者の32%、加古川市の32%、北九州市の54%が、短期間ながら本事業を通じて売上が増加したと回答しました。
開催地の増加に伴い、訪問開催が徐々に難しくなることへの対策として、eラーニングシステムの開発にも着手しました。利用者がストレスなく低コストで使用できる環境が整えば、学びやすく学習効果も期待できます。さらに慶応義塾大学の井庭研究室には、ワクワク系の実践者たちのノウハウをより共有しやすい仕組みをつくるため、「パターンランゲージ」による知識の体系整理を依頼しました。「パターンランゲージ」とは成功者の言葉にされにくい、“センス”や“感覚”とよばれる実践知について、何を考えながら行動しているのか、第三者も共有しやすくするための手法です。こうした汎用ツールも、学習効果を高めることが期待されます。
企業の育成に志ある地域金融機関との連携による全国展開
経済産業省による2年間の補助期間を経て、現在は地域ブランチの名称で、参加者から自己負担もいただきながらの新たなプログラムが始動しました。手始めに加古川市が2019年度よりスタートし、下関市と北九州市は一体で今後稼働予定です。
地元企業を元気にしたいという意欲的な金融機関と連携しながら、今後は他の都道府県でも開催していきたいと考えていますので、ご関心のある地域金融機関の方からのご連絡をお待ちしています。
ワクワク系新プログラムによるサービス業の生産性向上・企業力底上げ全国展開事業
(経済産業省 商業・サービス競争力強化連携支援事業)
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期間
H29年度(2017年度)~H30年度(2018年度)
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クライアント
株式会社オラクル