地域振興/産業振興/リサーチ・マーケティング/事業プロデュース・マネジメント 株式会社アール・ピー・アイ

事業内容

構想・計画策定

宇都宮市歴史文化基本構想策定支援業務

周辺環境と一体となった文化財の保存・活用のマスタープラン

近年、社会構造の変化や価値観の多様化により、文化財を取り巻く周辺環境が大きく変化しています。少子高齢化などにより継承できなくなった地域の伝統芸能や、価値に気づかず損失・滅失してしまう建造物や景観などが問題になっています。宇都宮市においては、市内に多数存在する大谷石建造物の保護対策も、緊急を要する課題の1つでした。また、指定制度だけで守っていくには限界があり、近隣に暮らす住民が主体となり、使い続けることによって守ることにつながるような、新しい仕組みの構築も必要になります。そこで、地域に所在する文化財を総合的に保存・活用するためのマスタープランとして、文化庁が推進する「歴史文化基本構想」を策定しました。これは、歴史文化を生かした地域づくりの基本方針ともなるものです。

市内全域でのワークショップの実施

未来にわたって地域の歴史文化を継承していく担い手は、地域住民に他なりません。市内は16地区に分かれ、地区ごとに固有の歴史文化があります。そこに暮らす住民が大切にしている歴史文化資源を発掘し、住民自身が維持・活用の主体となっていくためには、地区ごとの丁寧な掘り起こしが必要です。一方、歴史文化資源の“活用”という観点からは、価値に気づいていない人にいかに関心をもってもらうか、伝え方や活用の仕方の工夫が重要になります。
そこで、地区住民だけで話し合うのではなく、複数の地区が合同でワークショップをおこない、互いに魅力を伝え合い、質問し合うことで、魅力の再発見、アイデアの共有、連携の可能性を見出しました。さらに各テーブルには、市内の学生に入ってもらい、率直な感想や斬新なアイデアが出されたことで、住民にとっても新しい刺激が与えられ、やる気につながりました。地区別ワークショップの参加者を募って開催した全体会では、数人ずつシャッフルさせながらテーブルを回る“ワールドカフェ方式”でおこない、回を重ねて顔を合わせることにより、地区を越え、市全体としての歴史文化を大切にする思いを共有することができました。

日本遺産認定へ

歴史文化基本構想では、複数の文化財を関連するテーマで括ることで、一体的に保存・活用を進め、魅力的な形で分かりやすく価値を伝えることができるとしています。宇都宮市では8つのストーリーを設定しました。ワークショップで挙げられた各地区住民の大切にしている歴史文化資源がストーリーの中に組み込まれ、市民にとって誇りとなる宇都宮の歴史文化を語るストーリーができました。そのうち“大谷石文化”は、日本遺産への認定に向け、ストーリーの軸となるコンセプトの検討、ストーリーに組み込む要素の検討、構成文化財の検討、訴求力の高いコピーの検討、大谷石研究者によるダイナミックな視座の検討などを通してブラッシュアップをおこない、平成30年度、日本遺産に認定されました。
今後は、日本遺産魅力発信事業として、情報発信やルート設定、人材育成、普及啓発に取組み、大谷石文化を核とした地域づくりが期待されています。

地区別ワークショップ

全体会

宇都宮市歴史文化基本構想策定支援業務

  • 期間

    H28年度(2016年度)~H29年度(2017年度)

  • クライアント

    栃木県宇都宮市