インバウンド促進
「東京島しょ地域におけるインバウンド拡大策に関する調査研究」に係る業務委託
東京の島しょ地域へのインバウンドは東京都全体の1%未満
2016年に東京都を訪れた外国人旅行者数は約1,310万人(対前年比10.2%増)となっており、全国で最も外国人旅行者が訪れる地域となっています2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会もあることから、東京都を訪れる外国人旅行者数はさらに増えることが予想されます。しかしながら、東京都産業労働局観光部の「平成28年度国別外国人旅行者行動特性調査」によると、東京島しょ地域を訪れた外国人旅行者はわずか0.8%で2015年度の同調査から0.1ポイントダウンしています。
東京島しょ地域は都心から近距離にありながら、イルカと一緒に泳いだりハイキングができるなど、東京の一部であることを忘れさせるような豊かな自然環境が残っています。こうした魅力溢れる東京島しょ地域へ、インバウンドの誘客可能性について検討しました。
役場・観光協会・事業者・旅行者など、あらゆる立場の関係者から意見の収集
本調査研究では、東京島しょ地域特有の状況を踏まえてインバウンド拡大の課題を整理するとともに、ターゲット層を明確にし、これらの層が関心を寄せる事業・取組やアプローチ方法等を検討しました。東京2020大会を好機ととらえ、東京島しょ地域のインバウンド拡大策の方向性や具体的な内容を提示し、地域が一体となって取り組めるように促すことを目的としました。
調査では、実際に来日している外国人及び東京島しょ地域に来訪している外国人の意向を竹芝桟橋にてアンケートしました。また、来日した外国人旅行者の観光動向や東京観光に対する期待度や満足度、東京島しょ地域の認知度などを羽田空港で調査しました。
さらに、自治体、住民、観光関連事業者に対してもアンケートを行い、共通する問への回答から、インバウンド対策に対するハードルの違いを比較しました。あわせて島内の観光振興のキーマンにインタビューを行い、東京島しょ地域における取組規模等のレベルや展開のステップを整理しました。こうした数々の調査から得られた知見と、外国人モニターに島を訪れてもらい、そのときの感想や気付きをもとに、最終的な政策提案を行いました。
在日外国人のリピート化から、インバウンドの目的地化へ
八丈島のバードウォッチングなど、国際的に認知されている集客コンテンツはあるものの、現在島しょ地域を訪れている外国人の多くは日本在住の外国人が多いことがわかりました。このことから、在日外国人のリピート化を当面の目標とし、段階的に海外在住の外国人の集客・リピート化を図っていくという方向性が定まりました。
しかしながら、かつての離島ブームほどの集客はないとはいえ、夏のハイシーズンは宿泊施設の許容量いっぱいまで観光客が訪れることから、観光事業者の意識には外国人受入に対して積極的とはいえないところがあり、地方自治体や観光協会も、消極的な事業者に合わせる傾向が読み取れました。そこで、全体の底上げよりもまずは意欲ある事業者から順次応援し、徐々に賛同者を広げることを提案しました。また、例えばインバウンド客に対し、民宿の諸規則を口頭で説明せずに済むよう定型化して伝えられるようにするなど、インバウンド集客で先行する他地域の先進事例を参考に仕組み化を提案しました。
一方で、近年は地域の受入許容量を超えた旅行者の流入が、地域の環境を悪化させていることが社会問題となっていることから、増えすぎる前にルールづくりの必要性についても提言しました。
「東京島しょ地域におけるインバウンド拡大策に関する調査研究」に係る業務委託
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期間
H26年度(2014年度)
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クライアント
(公財)東京市町村自治調査会