地域振興/産業振興/リサーチ・マーケティング/事業プロデュース・マネジメント 株式会社アール・ピー・アイ

事業内容

空間デザイン・施設活用

美馬市休・廃校施設利活用計画策定に関する調査研究に伴う基礎調査業務

公共インフラの維持費が財政負担、そのおよそ半分は学校施設の維持費

今日本では全国的に公共の建物や橋、水道管など施設の老朽化とその維持費の負担が問題になっています。その背景には、高度経済成長期に一斉に建設された施設が更新時期を迎えていること、特に地方では人口減少が進み支えられない状況が発生していることなどが挙げられます。また最近は、大規模自然災害の影響により破壊された道路や陥落した橋を、以前の状態に戻すのか、あるいは代替手段を講じるのかといった問題が地方自治体を悩ませています。
地方自治体が抱える公共施設の維持費のうち、最も大きな割合を締めているのが、小中学校施設です。公共施設マネジメントに先行して取り組んでいる自治体の調査レポートによれば、将来発生が予測される維持管理コストのおよそ半分は学校施設と推計されており、このまま対策を講じなければ、財政赤字の原因となることが確実視されています。
本調査の対象地域である徳島県美馬市は、県都徳島市から西へ40キロの位置にあり、2005(平成17)年3月1日に旧美馬郡内の脇町、美馬町、穴吹町、木屋平村が合併してできた市です。人口は2013(平成25)年12月1日時点の住民基本台帳で31,474人に対し市内に小学校21校、中学校9校(解体・分校除く)と多くの学校施設を抱えています。
調査当時は長期的な見通しのもと、公共施設マネジマントを計画的に推進していくことを予定していたことから、今後の公共施設マネジメントの推進にあわせ、本調査では公共施設台帳の整備のあり方と、安全性や改善費用等を簡易に診断・分析する手法について検討しました。

市内学校施設の活用可能性の検討

まず初めに、将来の多目的利用の可能性を探るため、現在使用中の学校も含め市内全校の施設設備を調査しました。調査では、学校施設の土地、建物(規模・仕様)、機能(諸室・設備)等を明らかにすることを目的に、基礎調査と現地調査を実施しました。基礎調査は書面調査方式で、教育委員会(教育総務課)の協力のもと、管理データと既存資料等から学校施設に係る基礎的データを収集しました。一方現地調査については、モデル地区(美馬地区)では休校となっている2校も含めた小学校に、美馬中学校を加えた計8校(小学校7校、中学校1校)について現地調査を実施し、学校施設の配置状況や諸室・設備の状況について学校施設調書にまとめました。
また、市民2,000人を対象にアンケートを実施し、学校施設との関わりや地域活動の状況、活動場所が学校施設に変更された場合の意識など把握しました。以上の基礎情報をもとに住民参加の委員会を開催し、美馬市における休・廃校施設の有効活用の基本的考え方、方向性、活用方策等について検討を行いました。

公共施設のダウンサイジングの難しさ

公共施設の老朽化問題の解のうち、今最も難しいのは時代に応じたダウンサイジングといえます。特に、学校施設は周辺地域に暮らす住民の代々の思い出が詰まった地元のシンボルであることが多く、児童数が減ったからと言って取り壊すことには心情的な抵抗がある場合が少なく有りません。
こうした問題に対し、「こうすればうまくいく」という即効性のある処方箋を、私達も残念ながら持ち合わせてはいませんが、財務上の数値や設備に関するロジカルな議論と、住民感情にも配慮した情緒的な議論の両方が必要だと認識しており、その両方に寄り添うスキルと経験値は有しています。

各校を測量し学校施設調書を作成

廃校活用のイメージ(防災拠点)

美馬市休・廃校施設利活用計画策定に関する調査研究に伴う基礎調査業務

  • 期間

    H25年度(2013年度)

  • クライアント

    徳島県美馬市、(一財)地方自治研究機構